中小企業庁のサイトが参考になる! とは言っても、私のような財務会計の初心者には問題の意味も解説もちんぷんかんぷん。まずは中小企業庁が発行している中小企業白書を参考に、基礎知識を固めていきたいと思います。
中小企業は労働分配率が高いらしい?
まず、この図を見てみましょう。
この図は、企業規模(小規模・中規模・大企業)毎にみた、労働分配率の推移の図です。大企業はここ20年で労働分配率が下がっているのに対し、小規模企業は微減、中規模企業は変化がないことが読み取れますね。
労働分配率ってなんだっけ
労働分配率=人件費 / 付加価値額
付加価値額=営業利益+人件費+α
労働分配率は、会社が生み出した付加価値のうち、どの程度を人件費に回しているかをみるための指標です。
収益ー売上原価=売上総利益
売上総利益ー販管費=営業利益
ですから、販管費の一部である「人件費」がめちゃくちゃ大きいと、営業利益がそのぶん少なくなっているよ、ということになります。
ではどうやって労働分配率を下げるのか。まさか労働者をタダ働きさせるわけにはいきませんから、分母である付加価値額を大きくして、分子である「人件費」の相対的な割合を減らす、つまり収益そのものを拡大していきましょうね、という戦略がとられることになります。
付加価値額はどうやったら大きくなる?
企業が生み出す付加価値額は、
付加価値額=【従業員数】×【従業員一人あたりの付加価値額】
という計算が成り立ちます。
付加価値額を増やすためには、従業員数を増やすか、一人あたりの付加価値額を大きくするかのどちらかが必要、ということになりますね。
【従業員一人あたりの付加価値額】のことを、労働生産性、または付加価値生産性といいます。
付加価値額=従業員数×付加価値生産性
付加価値額=従業員数×付加価値生産性 を展開する
上記の式を、(付加価値生産性=)の形に置き換えてみましょう。
付加価値生産性=付加価値額 / 従業員数となります。
資本装備率、資本生産性の概念を練り込んでいく
はい。ここでついに資本装備率、資本生産性の登場です。突然の登場なので、まずはこの2つの言葉の意味から説明しましょう。
以下を書くにあたって、次のサイトを参考にしました。
資本装備率、資本生産性の比較 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/shoukibodeta/html/b1_3_1_2.html
資本装備率(労働装備率)とは
資本装備率とは、有形固定資産(=資本ストック=設備等)を従業員数で割ったもので、従業員一人あたりの有形固定資産の保有状況を示しています。別名、労働装備率とも呼びます。
資本装備率=有形固定資産 / 従業員数
一般的に、この指標が高いと、生産現場における機械化が進んでいる、と考えることができます。資本装備率が上がっているということは、有形固定資産が増えているか、従業員が減っていることを示しています。
この図は、企業規模(小規模・中規模・大企業)毎にみた、資本装備率(非製造業)の推移の図です。大企業>中規模企業>小規模企業の順で、資本装備率が高いことがわかります。
資本生産性(設備生産性)とは
資本装備率とは、付加価値額を有形固定資産(=資本ストック=設備等)で割ったもので、有形固定資産1単位が生み出す付加価値額を示しています。
資本生産性=付加価値額 / 有形固定資産
一般的に、この指標が高いと、生産設備を効率的に利用できている、と読み取ることができます。資本生産性が上がっているということは、付加価値が増えているか、有形固定資産が減っているかのどちらかです。
この図から読み取れることは、小規模事業者の資本生産性が落ちてきているのに対し、中規模・大規模企業の資本生産性が向上している、ということです。
資本装備率と資本生産性を掛け合わせると…
さて、資本装備率と資本生産性、この2つの指標をかけ合わせるとどうなるのでしょうか。
資本装備率×資本生産性
=(有形固定資産 / 従業員数)×(付加価値額 / 有形固定資産)
=付加価値額 / 従業員数
となりますよね。
あれっ?付加価値生産性と同じ??
そうなんです。上記で確認してきたとおり、
付加価値生産性=付加価値額 / 従業員数 ですし、
資本装備率×資本生産性=付加価値額 / 従業員数 なので、
付加価値生産性=資本装備率×資本生産性、となるわけです。
ここで、付加価値生産性(=労働生産性)を確認してみましょう。
ほぼ横ばいながら、徐々に上向いていることがわかりますよね。
労働分配率と労働生産性(=付加価値生産性)の関係は?
ここまで、労働分配率、資本装備率、資本生産性、付加価値生産性(=労働生産性)と4つの指標をみてきました。
それでは、労働分配率と名前の似ている労働生産性(=付加価値生産性)について、改めておさらいしておきましょう。
労働分配率=人件費 / 付加価値額
労働生産性=付加価値額 / 従業員数
労働分配率と労働生産性は、割る方と割られる方が逆になっていて、単位が「人件費」と「従業員数」で異なっています。
労働分配率は、付加価値額のうちどれだけ人件費に割いているか、労働生産性は、一人の従業員がどれだけの付加価値を生み出しているかを把握することができる指標です。
仮にですが、
小規模事業者の人件費を月30万円、従業員2人、付加価値額を月100万円
大企業の人件費を月40万円、従業員1,000人、付加価値額を月100,000万円
とすると、
小規模事業者の労働分配率
労働分配率=60 / 100 =60%
小規模事業者の労働生産性
労働生産性= 100 / 2 = 50万円/月
となるわけです。対して大企業の場合、
大企業の労働分配率
労働分配率=40,000 / 100,000=40%
大企業の労働生産性
労働生産性= 100,000 / 1,000 = 100万円/月
となります。
小規模事業者のほうが労働分配率が高く、大企業のほうが労働生産性が高い、という典型的なパターンになりました。
今日は長くなったのでこのへんで!ではまた!]]>
中小企業庁のサイトが参考になる! とは言っても、私のような財務会計の初心者には問題の意味も解説もちんぷんかんぷん。まずは中小企業庁が発行している中小企業白書を参考に、基礎知識を固めていきたいと思います。
中小企業は労働分配率が高いらしい?
まず、この図を見てみましょう。 この図は、企業規模(小規模・中規模・大企業)毎にみた、労働分配率の推移の図です。大企業はここ20年で労働分配率が下がっているのに対し、小規模企業は微減、中規模企業は変化がないことが読み取れますね。
労働分配率ってなんだっけ
労働分配率=人件費 / 付加価値額 付加価値額=営業利益+人件費+α 労働分配率は、会社が生み出した付加価値のうち、どの程度を人件費に回しているかをみるための指標です。 収益ー売上原価=売上総利益 売上総利益ー販管費=営業利益 ですから、販管費の一部である「人件費」がめちゃくちゃ大きいと、営業利益がそのぶん少なくなっているよ、ということになります。
ではどうやって労働分配率を下げるのか。まさか労働者をタダ働きさせるわけにはいきませんから、分母である付加価値額を大きくして、分子である「人件費」の相対的な割合を減らす、つまり収益そのものを拡大していきましょうね、という戦略がとられることになります。
付加価値額はどうやったら大きくなる?
企業が生み出す付加価値額は、
付加価値額=【従業員数】×【従業員一人あたりの付加価値額】
という計算が成り立ちます。 付加価値額を増やすためには、従業員数を増やすか、一人あたりの付加価値額を大きくするかのどちらかが必要、ということになりますね。 【従業員一人あたりの付加価値額】のことを、労働生産性、または付加価値生産性といいます。
付加価値額=従業員数×付加価値生産性
付加価値額=従業員数×付加価値生産性 を展開する
上記の式を、(付加価値生産性=)の形に置き換えてみましょう。 付加価値生産性=付加価値額 / 従業員数となります。
資本装備率、資本生産性の概念を練り込んでいく
はい。ここでついに資本装備率、資本生産性の登場です。突然の登場なので、まずはこの2つの言葉の意味から説明しましょう。 以下を書くにあたって、次のサイトを参考にしました。
資本装備率、資本生産性の比較
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/shoukibodeta/html/b1_3_1_2.html
資本装備率(労働装備率)とは
資本装備率とは、有形固定資産(=資本ストック=設備等)を従業員数で割ったもので、従業員一人あたりの有形固定資産の保有状況を示しています。別名、労働装備率とも呼びます。 資本装備率=有形固定資産 / 従業員数 一般的に、この指標が高いと、生産現場における機械化が進んでいる、と考えることができます。資本装備率が上がっているということは、有形固定資産が増えているか、従業員が減っていることを示しています。
この図は、企業規模(小規模・中規模・大企業)毎にみた、資本装備率(非製造業)の推移の図です。大企業>中規模企業>小規模企業の順で、資本装備率が高いことがわかります。
資本生産性(設備生産性)とは
資本装備率とは、付加価値額を有形固定資産(=資本ストック=設備等)で割ったもので、有形固定資産1単位が生み出す付加価値額を示しています。 資本生産性=付加価値額 / 有形固定資産 一般的に、この指標が高いと、生産設備を効率的に利用できている、と読み取ることができます。資本生産性が上がっているということは、付加価値が増えているか、有形固定資産が減っているかのどちらかです。
この図から読み取れることは、小規模事業者の資本生産性が落ちてきているのに対し、中規模・大規模企業の資本生産性が向上している、ということです。
資本装備率と資本生産性を掛け合わせると…
さて、資本装備率と資本生産性、この2つの指標をかけ合わせるとどうなるのでしょうか。 資本装備率×資本生産性 =(有形固定資産 / 従業員数)×(付加価値額 / 有形固定資産) =付加価値額 / 従業員数 となりますよね。
あれっ?付加価値生産性と同じ??
そうなんです。上記で確認してきたとおり、 付加価値生産性=付加価値額 / 従業員数 ですし、 資本装備率×資本生産性=付加価値額 / 従業員数 なので、 付加価値生産性=資本装備率×資本生産性、となるわけです。
ここで、付加価値生産性(=労働生産性)を確認してみましょう。 ほぼ横ばいながら、徐々に上向いていることがわかりますよね。
労働分配率と労働生産性(=付加価値生産性)の関係は?
ここまで、労働分配率、資本装備率、資本生産性、付加価値生産性(=労働生産性)と4つの指標をみてきました。 それでは、労働分配率と名前の似ている労働生産性(=付加価値生産性)について、改めておさらいしておきましょう。
労働分配率=人件費 / 付加価値額 労働生産性=付加価値額 / 従業員数
労働分配率と労働生産性は、割る方と割られる方が逆になっていて、単位が「人件費」と「従業員数」で異なっています。 労働分配率は、付加価値額のうちどれだけ人件費に割いているか、労働生産性は、一人の従業員がどれだけの付加価値を生み出しているかを把握することができる指標です。 仮にですが、 小規模事業者の人件費を月30万円、従業員2人、付加価値額を月100万円 大企業の人件費を月40万円、従業員1,000人、付加価値額を月100,000万円 とすると、
小規模事業者の労働分配率 労働分配率=60 / 100 =60%
小規模事業者の労働生産性 労働生産性= 100 / 2 = 50万円/月
となるわけです。対して大企業の場合、
大企業の労働分配率 労働分配率=40,000 / 100,000=40%
大企業の労働生産性 労働生産性= 100,000 / 1,000 = 100万円/月 となります。
小規模事業者のほうが労働分配率が高く、大企業のほうが労働生産性が高い、という典型的なパターンになりましたね。
今日は長くなったのでこのへんで!ではまたー!
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