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      「パブリックハック」って発想、面白い!

      こんにちは。街づくり行政書士の遠藤です。

      とても唐突ですが、本サイトで面白い本を紹介していければなーと思い、筆をとることにしました。ということで、最初の1冊はこれ!

      笹尾和宏著:「PUBLIC HACK 私的に自由にまちを使う」

      公共空間の過度な活性化でまちは窮屈になっていない?
      ルールに縛られた空間を解きほぐし 公民連携の課題を解決する アクティビティ+マネジメント実践集!

      帯キャッチコピーより引用

      著者:笹尾和宏さん
      水辺のまち再生プロジェクト事務局。1981年大阪生まれ。大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻、経済学研究科経営学専攻修了。ともに修士。2005年から水辺のまち再生プロジェクトに参画し、大阪市内の河岸空間や橋の上、河川水域を活用したイベントを数多く実施。近年は、水辺をはじめ路上や公園、公開空地などの公共空間に視野を広げ、「自由使用」の視点にたった生活目線の実践・提案を行う。(裏表紙より・以下略)

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      ”日本のまちから自由さが失われています”

      本の「はじめに」の冒頭のいち文が、この刺激的なセリフです。

      私たちの住む街が、実は少しずつ窮屈になっているのではないか、という問題提起から話は始まります。

      たとえば、大きな公園でのボール遊びや、楽器演奏を禁止する看板が立ち並んでいたり、繁華街脇の公共広場でも、飲食、喫煙、スケボー、キャッチボール、ダンス等が禁止されていたり。

      公共空間や私有地に掲げられているこれらのルールは、法律や条例で規定されているものだけではなく、空間を所有する管理者が独自に設定したルールも多く含まれています。

      これらのルール設定は、管理コストを減らしたり、責任問題を事前に回避するために設定しているものかもしれませんが、「あんなのを野放しにしていていいのか」という、行為を受け入れられない人の声が大きくなり、具体的な禁止事項が都度追加されていく状況が、禁止事項だらけの空間を生み出しているのでは、と筆者は指摘しています。

      このように「通行すること以外は禁止されている」空間が広がっていくことは、私たちにとって、良いことなのだろうか、もっと私たち自身が、街を「私的に自由に使う」ことが、街づくりそのものではないだろうか、という筆者の投げかけには、ハッと気付かされるものがありました。

      街を「私的に自由に使う」その具体例

      本書では、パブリックハックの定義を、公共空間において、『個人それぞれが生活行為として自然体で自分の好きなように過ごせる状態であること』(本著P.8)としています。

      そのパブリックハックの例として面白そうなものを、3つ紹介しましょう。

      水辺ダイナー

      写真はイメージです

      市販のアウトドアテーブルと椅子を持参、テーブルクロスを敷き、自宅からもってきた普段使っている食器を並べて、水辺でディナーを楽しむ、というものです。都心の夜景を眺めながらの夕食(しかも川辺で)というだけで、特別な雰囲気を味わうことができそうです。

      チェアリング

      写真はイメージです

      「チェアリング」とは、路上をはじめ、砂浜や川の土手など、好きな場所に持ち運び可能のアウトドア椅子を置いて、そこでお酒等を飲んでくつろぐ行為のこと。酒場ライターのパリッコさんとスズキナオさんが名付け親だそうな。

      「普段と違う過ごし方」によって得られる「普段と違うモノの味方や考え方」に気づく(本著P.047)ことができるのが魅力のひとつ。

      くにたち0円ショップ

      写真はイメージです

      東京・国立市のまちがどで、月一回ひらかれている市。フリーマーケットみたいな見た目をしていますが、国立駅近くの路上で開催されています。そして、出品物はすべて0円。

      0円なので営業トークをする必要はありません。自然とお客さんが集まり、商品を試す人や、出店者とのおしゃべりを楽しむ人々が集まってくるそうです。

      0円ショップは、SNSを通じ、立川市や京都府、熊本県など各地に広がっているとのこと。もしかしたら私たちの住む街でも、行われているのかもしれません。

      「自由に使う」上で大切な2つのこと

      水辺ダイナーにしても、チェアリングにしても、どちらも面白そうなイベントですが、普段「通り過ぎる」ためにある道路の一部を使ってしまうことは、問題ないのでしょうか。

      問題のある行為かどうかを考える上で、大切なポイントが2つあります。それは「法律・条例」と、「周囲の理解」です。

      法律や条例をよく読む

      例えば、道路上で開催するイベントの場合、道路使用許可が必要になるのはどんな場合か、条例等で規制されていないか等をチェックする必要があります。

      音楽を流すのであれば、著作権法上問題はないのか、集まったみんなでお酒を飲む場合は、酒類販売業免許(酒税法)は要らないのか、など等。イベントの内容に応じて、事前に法律や条例をチェックしておきましょう。

      弁護士や行政書士といったプロが身近にいる場合は、尋ねてみるのも良いかもしれませんね。

      周囲の理解を得る

      たとえ法律や条例に反していなくても、通報やクレームが入れば行政や警察としては動かざるを得ない、という事情もあり、周囲に理解してもらう工夫は大切なポイントになるとのこと。

      大阪大学豊中キャンパスにある通学路を激走し、ゑびす男・ゑびす娘を決める「ゑびす男選び」。こちらは道路上で行われている行事ですが、町内会や掲示板等で事前告知をしていたことから、当日にクレームや通報を受けるような事態にはならなかったそうです。

      ところが、実施の様子がテレビニュースに取り上げられたこともあり、警察からはお咎めが。ただ、このイベントが周囲から好意的に受け止められていたことから、翌年度からは正式に道路使用許可を受けて開催することになったそうです。

      心地よかった「京都」という空間

      選書初回にしては少々刺激的な内容の本書。

      行政書士という「許認可」を扱う士業としては、「まずはやってみる主義」の内容にヒヤヒヤするところもありましたが、こんな空間の使い方が出来たら素敵だな、と思いながら読み進めることができました。

      私が大学時代を過ごした京都の街は「PUBLIC HACK」の巣窟で、鴨川では仮装した芸大生がそぞろ歩いている横で老婦人が太極拳を勤しみ、その風景を白衣を着た医師がタバコを吸いながら見つめている、といったことが日常でした。

      日付をまたぐまで誰も居ない南禅寺の境内で友人と語らい、夜中3時まで開いている銭湯の露天風呂で俳句を詠み、明け方、とぼとぼ歩いて家に帰宅すると、路上に折りたたみ椅子を出したご老人がコーヒーを啜っていて、「おはようございます」のご挨拶。

      かれこれ10年も前のことですが、他人に迷惑をかけない範囲で街を楽しむという姿勢は、京都では当たり前に見ることのできた光景でした。こうした街の持つ雰囲気は、創造的で多様性を受け入れる文化を生み出し、街の価値そのものを向上させているように感じます。

      まずは夕陽でも眺めてみるか…

      この本を読んで、遠い10年前の京都を思い出した私。10年という歳月と社会人という立場が、ほんの少し私を「おとな」に近づけてしまったのかもしれません。ぜんぜん街を使ってないなぁ…。

      手始めに、家の前の道路を掃き掃除でもして、路上で夕陽でも眺めてみようかな。。

      小心者の遠藤なのでしたー。ではまた!

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