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      文具が好きなので、士業用のボールペンについて考えてみた。

      まず、士業で使うボールペンはたぶん何でもいい。 出オチです。士業で使うボールペンに「モンブランのマイスターシュテュック」は必要ないのかもしれませんし、必要なのかもしれません。

      「必要」というのは、なにか機能を果たすから「必ず要る」のであって、モンブランのマイスターシュテュックを持っていないと入れない場所があるとか、ペリカンのスーベレーンで書いた文字でないと受け付けてもらえない書類があるとか、そういうことがなければ、本来は代替品でいいわけです。

      ところが、機能性とは別に記号論的な視点から、「どのペンを使うことで、その文化ではどのように受け止められるのか」は変わる可能性があるので、未だにマイスターシュテュックは売れ続けているのだと思います。

      基本的に、好きなペンを使えばいい。

      私のようにある程度の「ペン好き」であれば話は別ですが、この時代、多くの方にとってペンは興味・感心の対象外です。記号を解釈できる人間が相対的に減っているわけですから、その記号に投資をしたところで、悲しいことに理解されずにスルーされる可能性が高いわけです。

      そんなボールペンに投資をするわけですから、自分の属する文化テクスト上で評価されるモノを買えばいい、つまり、自分が「かっこいい」と思うモノに投資すればいい、という元も子もない話になってしまいます。

      より理解されやすい記号を選ぶ、という選択肢がある。


      もし私がモンブランもパイロットも知らない人間だとしたら、カスタム823とマイスターシュテュック、どちらが高いでしょう、と言われても全く分からないと思います。「黒色の万年筆、なんか高級そう」と思うだけです。でも、「なんか高級そう」と思われるだけ、マシなのです。士業の依頼者は、少なくない対価を払って仕事を依頼しますので、価値のある仕事を求めているからです。

      ボールペンに興味がない人に、ペン自体の魅力を伝えることは困難なことです。そんな方の属する文化テクストでもそれなりに評価されるものを装備しておくことがよいのでは、と思います。

      上記の図でいえば、3つの円が重なった部分に属するペンが、より多くの人に理解してもらえるペン、ということになります。一般的な(モンブランを知らない)人が見てもかっこいいと思える「『黒』のモンブラン」を選んでおけば、文房具を愛する方々に見られたとしても評価される可能性が高いので「もっとも多くの方から評価されるペン」となるはずです。

      つまり、「モンブランのマイスターシュテュック」は選択肢として「アリ中のアリ」なのです。かなり高価な出費となりますが…。

      目次

      で、遠藤オススメのペンは、これ。

      高価過ぎるペンは無くしたり落とした時のリスクが高すぎるので、ここでは日常的に持ち歩ける価格帯のボールペンを3本、ご紹介したいと思います。

      4色ボールペン LAMY2000

      カッコいいですよね?(押し付け)
      振り子式の4色ボールペンです。出したい色のマーク(写真だと緑)を上にしてノックすると、その色が出る仕組みです。実際手にもつと振り子が揺れて「カチャカチャ」うるさいのですが、振り子式なので仕方がありません。実売価格は6000〜7000円くらいです。

      LAMY2000の素晴らしいところは、1966年の生産開始当時から、デザインがまったく変わっていない点です。そもそも「LAMY2000」という名前の由来は、2000年になっても通用するデザイン、という意味からきているそうな。21世紀になった今でも「未来」を感じる素敵な造形は、今後も永く残り続けるのでしょう。


      私が普段、家や職場で使っている多機能ボールペンは、三菱鉛筆の<ジェットストリーム>、パイロットの<4+1 wood>。ジェットストリームは800円前後、4+1 woodは1700円前後。ジェットストリームは安いので4〜5本揃え、自宅や職場、カバンの中や背広のポケットなど、あらゆる場所に忍ばせています。

      使いやすさや書きやすさでは、LAMY2000はジェットストリームに叶いません。ジェットストリームは安い。リフィルも安い。軽い。気楽に扱える。でも、こうして3本を並べて写真をとってみると、ちょっと太いかな、という印象を持ちます。
      家や仕事で書類を作る時はジェットストリームがメイン、お客様の前で仕事をする時はLAMY2000を使う、というのはいかがでしょうか。

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      パイロット カスタム74(ゲルインク)

      えっ、なんで油性じゃなくてゲルインキなのよ、という声が聞こえてきますね。(幻聴)
      その答えはこちら。2つの商品【LKK-7SR-B】【BKK1000RB】を見比べてみてください。

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      もちろんゲルインクと油性インクという違いはあるのですが、実は、ゲルインクのカスタム74は、万年筆のようにペン先をキャップで仕舞う仕組みになっているのに対し、油性インクのカスタム74は、キャップ一体型(取れない)で、ペン先は軸をひねって出す仕様になっています。

      利便性は油性のほうが高いのですが、キャップを閉めれば万年筆と同じ形状になるなんてカッコ良すぎるじゃないですか。しかもゲルインクのカスタム74は油性版より3000円も売価が安いってどういうことよ!


      キャップにはCUSTOM74の文字。そしてクリップ先にはPILOT特有の球体。高級感がありますね。
      さて、ゲルインクを士業というか公的文書で使っていいかどうかですが、PILOTのサイトによれば、

      公式文書にご利用の際は、使用されるボールペンのインキが耐水性や耐光性が、日本工業規格(JIS)における品質要求(公文書用)を満たしている必要があります。当社の製品では、フリクションシリーズを除いて、黒インキのボールペンがこの条件を満たしておりますのでおすすめいたします。

      公式文書におすすめのボールペンはありますか? | よくあるご質問 | PILOT

      とのことで、油性インクでなくとも公文書に問題なく使えるようです。
      ゲルインクは油性と水性インクの良さをいいとこどりしたインクで、書き味がなめらかな上に、耐水性もあるインク。難点としてはインクの減りが早いことですが、海外製の高級ボールペンと異なりリフィルは200〜300円程度で購入可能です。

      パイロット グランセNC スターリングシルバー ストライプ

      黒の次は、銀。グランセシリーズは実売5000〜6000円で購入できますが、グランセNCスターリングシルバーはその倍以上の価格。その名前の通り、ペン軸の素材は銀925。92.5%が銀で出来ている素材で、通称「スターリングシルバー」と呼ばれています。画像の通り銀素材なので、かなり強く光に反射します。

      クリップにある「GRANCE」の文字以外は、ほとんど飾りのないデザイン。ペンの素材自体がかなりの存在感を放っています。


      手に持ってみると、かなりずっしりした重さを感じます。このペンで何枚もの書類を書くのはちょっとしんどい。
      重量があるぶん、自然としっかり握って書くことになるので、ここぞという大事な時だけに使う、例えばお客様にサインしていただくのにピッタリだと思います。


      こうして2本のペンを比べてみると、グランセNCの細さがよく分かるのではないでしょうか。
      グランセブランドのカラー展開とサイズから考えるに、女性をメインターゲットとしていると思われますが、スターリングシルバーは男性が使ってもまったく違和感のないデザインです。

      グランセNCは油性インクの一種であるアクロインキ。ゲルインクほどではありませんが、同じ油性のジェットストリームよりもなめらかなインクで、書き味は申し分ありません。

      パイロット742&823 万年筆

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      ちょっと番外編。仕事&私用で使っている万年筆について少しだけ紹介します。

      カスタム742シリーズは、74と743シリーズの中間価格。万年筆においては、ペン先のサイズが異なります。742シリーズは10号のペン先、パイロットの標準サイズです。

      フォルカン(FA)という種類のペン先は、書き方によって太さに変化が生まれる「筆」のような書き味で、742の10号サイズ、743の15号サイズの2種類があります。743のほうが書きやすいと言われており、大学時代の私も743を使っていましたが、安定した書き味の反面、思った以上の面白味はなかったので、今は742を使っています。中字以上の太めの書き味なので、封筒の宛名書き等に使っています。

      カスタム823シリーズは15号の太いペン先で、私が使っているのは細字です。ノートや書類に書き込むのに丁度いい太さです。

      742にはパイロット色彩雫の深海をブルーブラックとして、823には尚貴堂さんのアマルフィ(鮮やかな青色)を入れています。アマルフィは鮮やか過ぎるので、行政書士の仕事として使うのは、深海を入れた742だけです。

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      改めて結論。モノトーン調の黒・銀系はオススメ。

      以上、3本のボールペン(&2本の万年筆)をご紹介しました。

      100円で高性能のペンを購入できる時代、高価格帯のペンに機能的な優位性はありませんが、「相手にどう見られたいか」という視点からペンを実際に購入してみました。

      我々の生活する文化圏では、黒、白(銀)といったモノトーン調はクール、洗練、合理的、無機質といった印象を持たれることが多いです。仕事柄、こうしたイメージを持たれることはプラスになります。また、所有するペンがモノトーン調で揃っていると、何本一緒に持ち歩いても主張が激しくなることがない、というのも大きな利点ですね。ペンに限らず、何を買うべきか迷ったら、「相手にどう見られたいか」という視点から考えてみることをオススメします。

      街づくり行政書士の遠藤でした!ではまたー。

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