遠藤行政書士・街づくり支援事務所

平井デジタル改革相「業者を脅しておいた方がよい」について、思うこと。

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こんにちは。遠藤行政書士・街づくり支援事務所の代表、遠藤 諒です。

今日の朝、こんな記事が朝日新聞に載りました。

朝日新聞が入手した音声データによると、平井氏は4月上旬にあった内閣官房IT総合戦略室のオンライン会議で、減額交渉に関連して、「NECには(五輪後も)死んでも発注しない」「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」などと発言。さらに、NEC会長の名をあげ、幹部職員に「脅しておいて」と求めていた。

この発言について、平井氏は取材に、「交渉するスタッフが弱腰になったら、いくら取られるかわからない。国民の血税だから強気で交渉しろ、と伝えた」とする一方、「国会で野党から、契約額が高いと迫られていた。自分も追い込まれていた」とも話した。

「徹底的に干す」「脅しておいて」平井大臣、幹部に指示(朝日新聞オンライン)

オリパラ用にNECが開発した顔認証システムが、コロナによる外国人観光客の受け入れ中止に伴い、不要になったことから、国とNECが当初契約した金額から減額するための交渉において、平井デジタル改革相が幹部職員に発した台詞が、スキャンダルとして報道されたのでした。

既に合意した契約を恫喝をもって覆そうとする。一国の政府が私企業相手に何をやってるんだろう、と思うと同時に、私のように齢32にもなると、似たようなのを昔どこかで見たなー、と既視感をおぼます。そう、当時、民主党政権だった松本龍復興相が、宮城県庁で放った、あの発言。

「お客さんが来る時は、自分が入ってからお客さんを呼べ。いいか、長幼の序がわかってる自衛隊ならそんなことやるぞ。わかった?」

「今の最後の言葉はオフレコです。いいですか、みなさん、いいですか、『書いたらもうその社は終わり』だから。」

ウィキペディア(Wikipedia)松本龍

2011年7月、東日本大震災という未曾有の大災害に対応するトップが、県知事とマスコミになんとも威圧的な態度で接していたことが明るみになり、松本復興相は発言の2日後に大臣の職を辞しました。

評論家の内田樹さんは、上記の事件について、ブログ「内田樹の研究室」のなかで、以下のように見解を述べています。

気になるのは、これが松本大臣の個人的な資質の問題にとどまらず、集団としてのパフォーマンスを向上させなければらない危機的局面で、「誰がボスか」を思い知らせるために、人々の社会的能力を減殺させることを優先させる人々が簇生しているという現実があることである。

「ボスが手下に命令する」上意下達の組織作りを優先すれば、私たちは必ず「競争相手の能力を低下させる」ことを優先させる。

自分の能力を高めるのには手間暇がかかるけれど、競争相手の能力を下げるのは、それよりはるかに簡単だからである。

暴言と知性について(内田樹の研究室)

罵倒し、脅迫することで、相手を震え上がらせ相対的に優位に立つ。2011年の「集団としてのパフォーマンスを向上させなければらない危機的局面」に引き続き、2021年の危機的局面でも、同じような構図は繰り返されている、というわけです。

大臣という国のTOPの発言として、どちらも許されるようなモノではありませんが、世の中には、言いたい放題の野党が本当は悪いとか、他罰的な報道を繰り返すマスコミが悪いとか、いろんな意見が飛び交っているようです。

何が一番悪いかはさておいて、「とりあえず、こんな物言いは辞めましょうよ。気分が悪いので」というのが僕の立場です。

大臣の、私企業や地方自治体の長を脅すような発言を許容すれば、いずれ、国家権力と付き合うことはリスクとして広く認知されるようになるでしょう。政府に表向き協力する企業や自治体は残るでしょうが、いざというときに助けてくれる組織はどんどん減っていくと思います。

コロナという一大事のために、他のことを差し置いて懸命に作ったアプリを、「使う予定が無くなったから」という先方の都合で「減額しろ」と脅す。作った後に脅されるなんてまっぴらごめんですから、多くの企業は入札を避けるようになります。競争入札は不調に終わることが増え、随意契約を結んだ企業もリスクテイクのために、より高額の契約条件を提示することになるでしょう。

本当に「国民の血税」のためなら、相手を脅すのではなく、相手に協力してもらう体制づくりをしたほうが、長い目で見たときに損をしなくて済むはずです。どうしたら従ってもらえるか、ではなく、どうしたら協力してもらえるのか。「北風」を演じようとする組織のリーダー達は、そろそろ本気で考え直すべきなのではないでしょうか。

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