こんばんは。行政書士の遠藤です。
突然ですが、Vapeのリキッドって何種類ぐらいあるんでしょうか。タバコの銘柄なんて比較にならないくらいのスピードで新しいリキッドが日々誕生していますよね。日常風景ではほとんど見かけませんが、それなりに愛煙家がいるのでしょう。
でも、これだけ多くのリキッドが出回っているのに、リキッドレビューってブログでもYouTubeでも、ほとんど見かけないのは何故なのでしょうか。あまりに少なすぎて、私の場合、購入前にTwitter検索、Amazonや楽天のレビューを見に行くのが定番に。
そんなこんなで自戒を込めつつ、たまにはリキッドのレビューでも書いてみようかと思うのですが、鼻が良くない人間なので、あくまで「個人の感想」として受け止めていただけましたら幸いです。

さて、今回レビューするのは、I4U. × FROGさんの『』と、ZENN.の2本。
環境はどちらもAmbition Mods×gentleman Club のRipley MTL/RDL RDTA、1.2Ωで15W前後です。複数環境でレビューするのが普通だと思いますが、DLは使わない&高抵抗好きなので、この環境だけでの官能レビューとなります。
『 』

『 』は、そもそも何とお呼びすればいいのでしょうか。
「ななし」「無名」「スペース」「無題」…うーむ。
このリキッド『』はかなりの人気で、販売されるや否や、ものすごい勢いでソールド・アウト。試してみたいなーと思いながら半年後にようやくゲットできたのであります。
まずは商品説明より引用。
Made in:日本
PG/VG:45/55
フレーバー:リコリス / ミント / ブレンドハーブ / ライム / アプリコット / タバコ
甘さ :★☆☆☆☆
清涼感:★☆☆☆☆
————————————————————————–(中略)
『 』はリコリス、ミント、ライム、ハーブ、アプリコットにジンとヴァイオレットをヒントに加え、香り高い数種類のタバコ葉でまとめられた【雨の日の森】をイメージしたリキッドです。
幾重にも重ねられた非常に複雑な芳香のフレーバーであるものの、ほんの僅かなメンソール感と甘みをギリギリまで抑えることでスッキリと軽やかな風味に仕上がっております。
また好き嫌いが分かれるリコリス系フレーバーながら、様々なハーブと混ざりあいエンドノートをタバコで締めることで苦手な方でも吸い易い香りに纏まっています。繊細かつ複雑な香りのリキッドなので、ワッテージモードなどで使用するとコイルが温まるにつれフレーバーも徐々に変化していきます。
(中略)けっして万人受けする様なリキッドではありませんが、ハーブ/アロマ系タバコを好む、ごく一部の方の琴線に触れる様なハーバルタバコフレーバーとなっております。
» I4U Liquid × FROG【『 』】 | Vape Shop Frog
ふむふむ。複雑系のなかでも複雑なんだろう、という商品説明。ハーブ好きならば、一度試したくなる内容ですね。
ということで早速味わってみましょう。
雨の日の森、なのか。
吸ってみてすぐ、BaksLiquidLab.の「Garden」に似てるかも、と思いました。草の香り系、ですね。結構な草感があるので、好き嫌いは結構分かれるかなーという印象。
リコリスはちょっと弱いかな…。たしかにリコリスはそこにいるんだけど、他の要素にかなり抑えられている。想像していたのは、ハーブティの有名ブランド「Pukka Herbs」さんの「ペパーミント&リコリス」のような、しっかりとした甘みと爽快感でしたが、「草感のなかに、少しリコリス」という感じ。ミントもそこまで主張することなく、添える程度。
私が気になったのは、【雨の日の森】という表現です。(あくまで個人の感覚的な話です)
【雨の日の森】と聞いて想像するのは、霧雨の降る夕方の奥多摩で、湖畔を眺めながら吸ったPeaceのタバコ。ペトリコール、ゲオスミンとは異なる、どこか肌寒い湿気感の中で味わうタバコの味です。

タバコって、湿気が入ったほうが甘味を感じるので、格段に美味しくなるんです。水分がドローを重くさせると同時に甘味をもたらす。雨はタバコと相性がいい。
「雨の森」というワードからは、「不安」と「静けさ」の同居する、かなりずっしりした、分かりにくい、水や土っぽさのフレーバーが頭をよぎります。葉巻、モンテクリストに代表されるような大地の香り。
『』は、「雨上がりの晴れた草原」というイメージに近いかもしれません。そこにはハーブも生えているでしょうし、涼しい風も吹いている。「軽快なナチュラル感、安心感」が『』には感じられました。
ZENN.

ZENN.、これは「禅 ZEN」でしょうね。こちらもまずは商品説明から見ていきましょう。
PG/VG:45/55
フレーバー:ルイボスティー/サンダルウッド/オリエンタルハーブ/バーボンバニラ
甘さ :★☆☆☆☆
清涼感:☆☆☆☆☆
——————————————————————-
ルイボスティーをベースにサンダルウッド、オリエンタルハーブを添え、バーボンバニラの香りで柔らかく纏められた『和』のフレーバーです。ともすれば主張が激しくなりがちなサンダルウッドの香りを、ルイボスティーとハーブが爽やかに纏め、バーボンバニラの香りがボトムを柔らかく補います。
» I4U. × FROG【ZENN.】 | Vape Shop Frog
エンドノートにかけて感じるルイボスティーの香りが特に素晴らしく、葉巻などの煙草葉にも近いニュアンスのふくよかな香りです。
(中略)
ルイボスは南アフリカ、サンダルウッドはインドネシアなどの亜熱帯地域が原産ですが、転じて日本人にも馴染みが深く、和の香りとしてお茶や線香などでも親しまれている香りです。
繊細と言われる日本人の味覚に添った、I4U.と当店が考える『和』のノートを是非お楽しみくださいませ。
ふむふむ、ルイボスティーとサンダルウッドがメインフレーバーなのだな…。
ということで早速テイスティング。
私はディフューザー。

Knoks ShishaシリーズにShisha Vanilleというリキッドがあって、吐くときに、少し「お香」のような香りが鼻腔を突いて面白いのですが、ZENN.は「サンダルウッドオイルを入れた加湿器か俺は」と感じるほどに、鼻から抜ける香りがサンダルウッド。ちょっとバニラテイストなサンダルウッド。これは凄い。
確かに「サンダルウッド」であって、「白檀」ではないんですよ。お線香の「白檀」のような、煙たい灰感はなく、アロマオイル系の軽い、透き通るような香り。ちょっと捉え方を間違えると、芳香剤の香りに近い。
吸っていると、どんどん体が清められていくような感覚があります。香りに「気だるさ」とか「ジャンキーさ」みたいなものは皆無で、「スムース」な香りの集合体を吸っては吐いている感じ。座禅のように精神が統一されていく、インナーワールドに入り込んでいくような感覚は特にありませんので念の為。
この香りもなかなか面白いですね。
総括
『』、ZENN.と両方を吸って感じるのは、「言葉に出来てしまう香り」の危うさ、です。
I4U.の他リキッドにも通じることなのですが、全体的にバランスが取れ過ぎていて、「私、複雑系なんです」という主張が最初に脳に認識されるんですよね。とても面白い味なんですけど。
吸って吐いたときの第一印象が「なんの味だ?」から始まる。何かに似てるんですよ。味が。そうすると、脳が、嗅ぎ取った「香り」と「香りをあらわす適切なワード」のマッチングを始めてしまうんです。これ結構危険だなと。
クラムチャウダーを口に含んだ時に、「これ美味しい!」と思う前に、「ジャガイモ感あるな」とか、「ホタテかな?アサリかな?」とか、そんなことを考えちゃうと美味しさが半減しちゃうじゃないですか。一昔前のタバコ系リキッドに「ナッツ」を感じてしまう、あれです。ナッツ風味が全体の味に調和しておらず、なんでタバコなのにナッツなんだよ!って突っ込みたくなるヤツです。
私が好きなリキッド、Select Reserveの「Buffalo Bill」、Ghost Bus Clubの「TRE GOCCE」は、香りを言葉に表しにくい。未だに「結局何味なんだろう、分からんけど美味いわ」って思いながら吸っているので、答えが分からないほうが美味しく感じるのだと思います。
一部を切り取って、「○○っぽい」と表現できてしまうことを肯定的に捉えるのであれば、例えば「おでん味」のリキッドがあって、「つみれの香り」とか「ゆで卵の香り」とか、いろいろ感じられる香りの総体として「おでん」を想起できるような場合だと思うんです。リキッド製作者が「人類が体験したことのないニュー・ワールド」をベイパーに提示した結果、その世界観が受け入れられることなく安易に「その人が理解できる香り」だけで評価されたらもったいないなぁ、と。作る側も誰に味わって評価されるか、「賭け」ですよね。性能ではなく官能評価なので、なるべく多くのベイパーが個々人の感想を表現していかないと、なかなか総体が見えづらいのがリキッドの世界だと思います。
「複雑系」をどう定義するかという話になってしまいますが、環境設定によって味が大きく変わる「複雑さ」は難易度が高いなー、と感じました。解析結果の一つ一つを味わって、帰納法的に世界観を理解しろ、と言われましても…、という感じ。
私の求める「複雑系」とは、複雑過ぎて言葉で表現できない「まとまりのある味」、のことなんでしょう。安易に表現できず、解析しにくいものを求めている。今後もそんなリキッドに出会っていきたいなーと思う今日この頃なのでした。