お久しぶりです。行政書士の遠藤です。
今日は防災小話をば。我が家にポータブル電源とカセットガス発電機を迎え入れることにしました。
家のポタ電が壊れていた…
我が家にはいくつかモバイルバッテリーがあるのですが、そのほとんどが10000mAh前後のモバイルバッテリーです。スマホやカメラ、たまにパソコンの充電が出先で切れた時のためにカバンに1つ2つ忍ばせておく用。
それとは別に1つ大きめのバッテリーがあります。FlashFishというメーカー製の、81000mAh/300Whと容量がやや大きめの言わゆる「ポータブル電源(ポタ電)」です。3年ほど前に購入したのですが、液晶部分のプラスチックパネルの接着が外れて依頼、スイッチが反応しなくなり、使えない状態が続いていました。
ちょっといじれば電源入るでしょ…
なんてのんきに思っていたのですが、いざ触ってみるとウンともスンとも。全く反応しないので、我が家のポタ電は廃棄処分に。。
バッテリー容量はいくらが良いのか…?
我が家は屋根ソーラーもないし、PHEVの車も無いし、電気が来なくなったら江戸時代並みの生活を強いられることになるのは確実な情勢。ポタ電の1つくらい家にないと心配で夜も眠れません。新しく買い直すことを決意しました。
とはいえ廃棄処分したポタ電も大した容量ではなく、キャンプ用に1日過ごすくらいであれば事足りるとは思っていたものの、大規模災害時の停電には不向き。81000mAhだと、家族全員のスマホとバッテリー式の照明器具の充電でもしたら、2日と持たないでしょう。電源喪失が怖くて扇風機を回すこともできません。
ここ数年、バッテリー市場の進化は一時期のパソコンCPU並のスピードで、大容量のバッテリーもAmazonで手に入れやすくなりました。
容量が大きければ大きいほど安心なのは間違いないですが、いくら安くなったとはいえ容量と価格はトレードオフの関係にあるので、身の丈に合った「災害時に必要となる容量」を考える必要があります。
参考になるのは、日常、我々が消費している電力量です。1人が家庭で1日に使う電気量は6.1kWh、4人暮らしだと13.1kWhと言われています。
普段我々は、洗濯機を回したり、冷蔵庫を使ったり、莫大な電気を消費し続けていますが、それらの機器は災害時には使用しない前提で考えますので、ざっと1/10程度の電力があれば、なんとか文明人としてギリギリの生活を送ることができると仮定します。文明人とは、夜に明かりをつけて本を読んだり、トイレに明かりを設置して用を足したり、ラジオから災害情報を入手したり、スマホでLINEを使ったりする行為を指します。おおよそキャンプ場で行える行為を家庭でも実現する、といったイメージです。
そうすると、家族のいる家庭の場合、1kWh程度の電力があれば、なんとかなりそうな気がします。ですが、この1kWhって、なかなかの金額になるんですよ。。
安い商品を販売しているバッテリーメーカーもあるのですが、災害時に使用するものなので、できれば有名どころから選びたいところ。
蓄電池の主流が三元系からリン酸鉄に変わっていた
調べていて気がついたのですが、「ポータブル電源」で検索すると「リン酸鉄」というワードが高頻度で目に飛び込んできます。どうも、リチウムイオン電池の主体が「三元系」から「リン酸鉄」に変わってきているようです。
詳しいことはわかりませんが、Jackery(ジャクリー)さんみたいなメーカーは2023年現在、古くからある「三元系」を用いた商品が多く、EcoFlow(エコフロー)さんに代表される新興メーカーが「リン酸鉄」を用いた商品を販売しているみたい。
「三元系」に比べて「リン酸鉄」の良いところは、圧倒的に長寿命であること。三元系が500回程度の充電サイクルでバッテリーがヘタるのに対し、リン酸鉄は3000回程度まで使えるそうな。3000回ってことは、毎日使っても8年使えるってことですからね。
我が家ではAFERIY(アフェリー)さんのポタ電を購入することにしました。1248Wh/390000mAhと、1/10ルール(通常時電気使用量の10%)をおおよそクリアしていたこと、純正弦波であり通常のコンセントと同様に扱えることが大事なポイント。
そしてもう一つ、この機種に決めた最大のポイントは、、ACコンセント入力時の充電速度です。
ACコンセント入力、めちゃ大切。
私がAFERIYさんのポタ電を選んだ大きな理由のひとつが、ACコンセント入力時の充電の早さです。ACコンセント入力は定格700W、満充電まで約2時間と、かなりの速度で充電が可能です。
ポータブル電源の性質上、よほどマメな人でない限り、フル充電した状態で常に用意しているわけではないでしょう。いきなり襲ってくる大地震では用意するなど無理ですが、台風や線状降水帯等の豪雨であれば、仮に停電が発生したとしても、ある程度の時間を稼ぐことができます。充電が2時間というのは大きなメリットです。
ただし、一度停電が発生したら、復旧までに時間がかかる可能性も。
東日本大震災の場合、停電地域の復旧には最長3ヶ月、80%地域が復旧するまでに3日かかっています。もし首都圏で大震災が発生したり、南海トラフ巨大地震のように広範囲で災害が発生した場合、都市部でも3日以上の復旧日数がかかることが容易に想定されます。
長期の停電には発電機が必須
最近のポタ電界隈は、なにかと「ソーラーパネル」押しですが、確かに長期の停電に見舞われた場合、太陽光発電は大きな電力源となります。ですが、雨の日はどうするのでしょうか。また、我が家のように陽の入らない家に住んでいる場合はほとんど無意味です。富士山等の火山噴火では、火山灰の影響も考えられます。
仮に大容量のポタ電を用意しても、いつ復旧するかわからない状態で使い続けることはかなり困難です。明日復旧すると分かっていれば、その日のうちに使い切っても良いでしょうし、復旧に3日かかると分かっていれば、1/3ずつ使うでしょう。ですが、電気の復旧時期を正確に把握することは困難です。
最低3日、できれば1周間程度の電源をスタンドアローンで確保するために、発電機の購入を検討することにしました。
発電機はガソリンか、カセットガスか。
追加費用がかからないという意味で魅力的な「ソーラーパネル」ですが、安定した電源供給が難しいので今回は購入を見送り。ポタ電に充電する発電機として、ガソリン発電機とカセットガス発電機を検討することにしました。
一般的に個人用の発電機といえば、ガソリンを用いた発電機が多いですが、ガソリン式は保存に難があります。ガソリン発電機もカセットガス発電機もエンジンオイルが必要、ということは、エンジンオイルの定期的な交換が必要に。とはいえエンジンオイルよりシビアなのがガソリン。ガソリンの保存期間が約1年であるのに加え、ガソリン発電機内に残ったガソリンは、都度すべて空にしないと、発電機自体を劣化させてしまうのです。
定期的にキャンプに行き、そこでガソリンを使うローリングストックを行えば良いのでしょうが、発電機はそこそこ大きな音がしますし、備蓄しているガソリンを使い切るほどエンジンを回し続けるのは大変です。
カセットガス発電機の場合、エンジンオイルの定期交換だけ気をつけていればそこまでシビアではないのに加え、カセットガスボンベ(CB缶)の保存期限は7年。発電コストはガソリン式に遠く及びませんが、コストよりも使い勝手を優先させて、今回はカセットガス式を購入することにしました。
私が購入したのはEENOURというメーカーの「GS900i-B」というカセットボンベ式発電機。定格出力は0.7kVAです。購入したポタ電が定格700W入力に対応しているので、発電機の出力とポタ電の入力がおおよそ対応しているのが購入の決め手でした。
発電機があるなら、ポタ電は要らないのでは?
と私も思いましたが、発電機ってスマホやパソコンのような機械には不向きなんですよね。それなりに大きな電力が必要なものであれば良いのですが、例えば発電機からスマホの充電をすると、ほとんどの電気が使用されず無駄になってしまいます。
発電した電気をポタ電に蓄電した上で、ポタ電からスマホやその他の機器を動かしたほうが、効率よく電気を使用することができます。
発電機を2時間動かすのに、3〜4本のカセットガスが必要だよ
ポタ電をフル充電するためには、発電機を2時間以上動かす必要があります。多くの発電機では、2本使用で1時間程度の稼働。「GS900i-B」は1本刺しなので、30分/本が目安でしょう。1回のフル充電に4本消費する前提でガス缶の備蓄をしておくと良いかもしれません。
1週間だと4×7で28本。CB缶は調理用としても利用できるので、4人家族で2本/日を料理に消費するとします。そうすると28本に14本を加えて42本。CB缶1本120円〜150円程なので、6,000円あれば備蓄が完了です。
ガソリンに比べれば高価ですし、使ったCB缶の処分も面倒。ですが、保管の容易さや料理等の可用性、ガソリンスタンド以外でも購入可能であること等、防災上のメリットは大きいと言えます。
できるだけの備えを。
減災・防災への備えには限度がありませんし、それなりの費用がかかります。
ですが、一度災害が発生すると、どんなにお金を払っても手に入れることができないものがあります。電気、水、ガス、食糧。それらを日常から保管しているかどうかで、災害時の生活クオリティーがまるで変わってくるのに、人間っていう生き物はなかなか未来への投資が苦手なようです。
我が家では水の備蓄は150リットルほどありますが、その他の備蓄は全然進んでいません。電気とガスについて、ようやく備蓄が進んだので、次は食糧ですかねー。
ではまた!