こんばんは。遠藤です。
今日は電子定款のお話。電子定款で定款認証すれば印紙代がかかりませんが、例えばセコムの行政書士電子証明書システムを使うと年7000円程度かかりますよね?ですが、マイナンバーカードとカードリーダーさえあれば、いつも使っているAdobe Acrobat Proで電子署名ができちゃうんです。
よく「行政書士に頼むと4万円の印紙代がかかりません」なんて文言を見かけますが、このやり方であれば本人が電子定款を作成する場合でも、追加費用がかかりません。
それではさっそく手順の解説です。
Adobe Acrobat 64bit版をアンイストール!
まず最初に、64bit版のAdobe Acrobatを削除します。
Windows11を使っている方は、設定>アプリ>インストールされているアプリ で「Adobe」を検索。基本的に、標準でインストールされているAcrobatは64bit版であることが多いです。64bit版であることが確認できたら、削除しましょう。(あくまで自己責任で)
Adobe Acrobat 32bit版をイストール!
次に、32bit版のAcrobatをインストールします。
まず検索サイトで「Acrobat のダウンロード エンタープライズタームまたは VIP」などと検索。Acrobatインストーラーのサイトを開きます。
ページ下部に、Windows32ビット版のダウンロードボタンがありますので、ここからダウンロードしてください。
ダウンロードしたらさっそくインストールします。
ダウンロードしたフォルダ内に、「Setup」ファイル(アプリケーションファイル)があります。クリックしてインストールしてください。
「セットアップが完了しました。」と表示されれば、無事インストール完了です。早速、Adobe Acrobatを起動しましょう。
起動するとまもなくして、ログイン画面が表示されますので、ログイン情報を入力してください。ログイン完了まで終わったら、Adobe Acrobatは閉じてもらって構いません。
Signed PDFをインストールする。
次にインストールするのは、PDF署名プラグインソフト(Signed PDF)です。
グーグルで検索するとTOP表示される、登記・供託オンライン申請システムの「PDF署名プラグインについて」というページを開いてください。
開くと青文字で「→「PDF署名プラグイン」ダウンロード」と書かれた箇所があるのでクリック。
「PDF署名プラグイン」のダウンロードボタンが表示されるので、ダウンロードしてください。
SPDFG~というファイルがダウンロードされているので、クリックします。
インストールウィザード画面が表示されますので、次へ、で進みましょう。
セットアップタイプは「公的個人認証ICカード(個人番号カード)を使用する」で良いかと思います。
無事、インストールが完了したら次に進みます。
JPKI利用者ソフトをインストールする。
3つ目のインストールソフトは、マイナンバーカードリーダーと接続するためのソフト。Googleで「JPKI利用者ソフト」と検索すれば、公的個人認証サービスポータルサイトの「JPKI利用者ソフトのダウンロード」というページが表示されるのでクリック。
Windows版のダウンロードボタンがありますので、クリックしてダウンロードしましょう。
JPKIAppli~という名前のソフトがダウンロードされているはずなので、クリックします。
昔のWindows95を想起させるグリーンバックのインストールウィザードが表示されますので、進みましょう。
無事にインストールが完了したら、おまじないを兼ねて、Windowsを再起動すると良いかもしれません。
Adobe Acrobatを起動して、設定変更する。
3つのソフトをインストールし終わったら、次はいよいよ設定変更です。Adobe Acrobatを起動してください。
起動時に保護モードを有効→無効に。
メニュー>環境設定を開きます。
セキュリティー(拡張)タブの、左上「起動時に保護モードを有効にする」のチェックを外しましょう。この設定にチェックが入っていると、Signed PDFがうまく機能しない事例があるようです。
怒られますが、はい、で先に進めます。その後、指示通り再起動しましょう。
デフォルトの署名方法をSigned PDFに。
メニュー>環境設定を開き、署名タブを選択します。「作成と表示方法」ボタンをクリック。
デフォルトの署名方法を、Adobeデフォルトセキュリティから、Signed PDFに変更し、OKをクリックして環境設定を閉じてください。
Signed PDF を設定する。
メニュー>プラグイン>%menuの場合>Signed PDFをクリック。なんで文字化けしてるんでしょうね…?
こんなポップアップ画面が表示されるので、右上の設定ボタンをクリックします。
名前、署名地を記入し、理由を選択します。記入が終わったらOKをクリックして、画面を閉じます。
再び最初のポップアップ画面に戻るので、PDF印影情報の参照ボタンをクリック。PNGやJPEGの画像形式ではなく、PDF形式にした印鑑情報を参照フォルダに入れておきましょう。電子署名時に模様(印鑑)がスタンプされます。
入力が終わったらOKボタンを押して、設定は完了です。
実際に電子署名してみよう
それでは電子署名の練習です。カードリーダーをパソコンと接続し、マイナンバーカードをカードリーダーに差し込んだ状態で作業を進めます。
適当なPDFファイルを開きます。「すべてのツール」から、「証明書を使用」をクリック。
「デジタル署名」をクリックしましょう。
「マウスボタンを押しながらドラッグして、署名フィールドを作成します。署名フィールド作成が完了すると、署名プロセスの次の手段に進みます。」とポップアップが。OKし、マウス操作で印影を残したい場所をドラッグしてください。
こんな感じで選びます。
マウスのドラッグをやめると「電子署名を行います。よろしいですか。」と聞かれるので、はい。
そうすると先程の署名者情報入力画面が立ち上がります。パスワード欄が活性になっているので、入力しましょう。
このパスワードはマイナンバーカードの署名用パスワードです。半角文字を6文字から16文字まで、かつ、数字とアルファベットが混在しているものです。4桁数字ではないので注意してください。
入力が終わったらOKをクリック。
カードリーダーがマイナンバーカードをしっかり読み込めている状態であれば、パスワードを確認しています、のステータスバーが現れて…
ファイルの保存先が聞かれるので保存しましょう。電子署名入りのPDFの完成です。
PDFには、しっかり印影が表示されていますね。(セキュリティの関係で一応マスクしています)
「検証が必要な署名があります」と表示されていますが、Signed PDFは電子署名をするソフトなので検証はできないみたいですね。私も最初に使った時は不安でしたが、定款作成者が検証できるかどうかは定款認証に関係なく、特に問題はないようです。
結構、試行錯誤がいるかも。
正直、ゴールに辿り着くまでいくつものエラーポップアップを体験し、心が折れそうになりましたが、調べながらなんとか電子署名できるようになりました。
Adobeも32bit版の開発を止めているようなので、今後、このやり方が通用しなくなる可能性も十分に考えられます。ある日突然電子署名できなくなった!だと困るので、別のやり方についても今後検討してみたいと思います。
ではまた!