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      職能別も事業部制も最後は持株会社になる??

      J.R.ガルブレイスとD.A.ネサンソンの「組織の発展段階モデル」によれば、【単純組織】から規模の成長を経ると【単一職能組織】となり、【単一職能組織】は3つのパターンに分かれるという。

      【 単一職能組織】→【持株会社】のパターン

      1つ目のケースは、買収などによって(外部成長によって)、非関連多角化を行い、持株会社となるケースだ。たとえば紡績企業だったカネボウがガムメーカーのハリス(現在のクラシエフーズ)を買収して食品事業を行ったり、日立造船は事業の多角化によって、杜仲茶の製造や旅行予約ウェブサイト「旅の窓口」の運営を行っていた。

      【単一職能組織】→【事業部制組織】のパターン

      2つ目のケースは、非関連多角化ではなく、関連事業への多角化によって内部成長(企業の外部から経営資源を獲得するのではなく、自社内部の経営資源を活用して成長を図る方法)を志向し、事業部制組織となるケースだ。 ソニーは1982年、社長の岩間和夫氏の死去に伴い就任した大賀社長のもと、関連多角化を行った。それまでベータマックスとVTRに頼っていた柱を増やそうと、半導体、マイクロコンピュータ、CD等の分野に積極投資を行った。(Sony Japan | Sony History 第24章 「柱を増やそう」 )

      【単一職能組織】→【集権的職能部門制組織】のパターン

      3つ目のケースは、垂直統合を志向し、大規模な集権化組織となるケースだ。薬品の研究開発会社が製薬工場を保有し薬の製造も行うといったケースが考えられる。職能別組織は、トップへの権限集中、分業、専門化が特徴である。

      持株、事業部制、職能部門制の相互移行について

      単一職能組織から持株会社、事業部制組織、集権的職能部門制組織にそれぞれなった場合、また相互に組織制度を変えていく場合がある。

      持株会社⇔事業部制組織

      M&Aなど外部成長によって持株会社となったものの、内部成長を強化したい場合は、事業部制組織へ移行する。 事業部制組織が無関連事業を吸収する場合は、非関連多角化となり持株会社に移行する。

      事業部制組織⇔集権的職能部門制組織

      例えば製薬会社を例にとる。薬品A、薬品B、薬品Cについてそれぞれ事業部が作られて、薬品A、B、Cにつき、それぞれ別工場に製造ラインを持っていたとする。 実はこれら3つの薬品が同じ製造ラインで製造することが可能であった場合、合理化を図って規模の経済性を発揮することが可能だ。事業部制をとりやめ、職能別組織として薬品の「製造部門」として分離し、製造部門でA、B、Cすべての薬を製造する。この場合、事業部制組織から集権的職能部門制組織への移行となる。 対して、集権的職能部門制組織が関連事業への多角化(例えば薬品ではなくサプリメントや健康食品も扱う)を行うのであれば、事業部制組織への移行も考えられる。

      職能別も事業部制も最後は持株会社になる??

      東大経済の高橋伸夫教授のサイトに記載された「事業部制」は非常に面白いので、一読してほしい。 「職能別組織が大きくなって、複数の製品を取り扱うようになり事業部制組織となる。そして、事業部を分社化して持株会社に移行する」 高橋教授は、日本においては上記のように認識している実務家が多いと指摘する。しかし、実際はそうではない例も多くあるようだ。 一部抜粋する。

      日本よりも先に、1920年代に事業部制が発明された米国では、確かにiのように、職能別組織から事業部制組織になった会社もあったものの、(中略)持株会社から事業部制へと再編したGMのケースもあったのである。GMは、持株会社形態で合併買収を繰り返して大きくなった後、単なる会社の寄せ集めから一つのまとまった組織へと変態を遂げるために事業部制に移行した。こうしたことから、経営史家チャンドラー(Chandler, 1962)は、事業部制こそが最終的な組織デザインであり、職能別組織も持株会社形態も、やがては事業部制に収斂していくと結論する。 事業部制 経営管理に対するニーズが変化する以上、それに合わせた組織が形成されるべきである。だが、職能別組織であっても持株会社であっても、多角化が進むとトップマネジメントへの負担が大きくなるので、各事業部に自律性を持たせて経営者を現場から解放するために事業部制に収斂していく、とチャンドラーは考えたようである。

      目次

      スピテキ財務会計 設備投資の経済性計算

      財務会計は本当にややこしくて、昨日やったことを翌日には忘れている始末。今日はテキストに載っている設例から1題、復習も兼ねてここにまとめておく。 1、正味現在価値法、2、収益性指数法、3、回収期間法でそれぞれ計算せよ。 

      ・投資額:20,000円(耐用年数4年)
      ・減価償却法:定額法。残存価額10%
      ・4年後の売却予想額:2000円
      ・実効税率:40%
      ・資本コスト10%(福利現価係数) →1年度末:0.91 2年度末:0.83 3年度末:0.75 4年度末:0.68
      ・投資額と設備処分以外のキャッシュフロー予想額 →1年目:5500 2年目:8000 3年目:9000 4年目:10000

      正味現在価値法(NPV)とは

      設備投資によって将来得られるであろうキャッシュフローをすべて現在価値に割り引き、その現在価値を合計。その合計額から初期投資額を差し引いたものが正味現在価値となる。 この値がプラスであるならば、その投資案は採用すべき、ということになる。

      計算方法は、 正味現在価値=【正味CF×福利現価係数の合計(現在価値の総額)ー投資額】となる。

      1年目:((5500ー4500)×0.6+4500)×0.91=4641
      2年目:5478 
      3年目:5400 
      4年目:6664 となるので、

      (4641+5478+5400+6664)ー20000=2183(正味現在価値)となる。

      値はプラスとなっているので、この投資案は採用すべき、ということになる。

      収益性指数法(PI)とは

      収益性指数法は、各年度のキャッシュフローの現在価値合計額と投資額の比率を計算する方法。価値が投資額の何倍になるの?を確認することができる。

      各投資案が相互に無関係で採否の評価が投資案別に行われる(=独立投資案)場合、収益性指数が1よりも大きければ、その投資案は採用すべき、1より小さければ棄却すべき、と判断される。 計算方法は、

      収益性指数=【各年度のCFの現在価値合計 / 投資額の現在価値】となる。

      CFの現在価値は、
      1年目:((5500ー4500)×0.6+4500)×0.91=4641
      2年目:5478 
      3年目:5400 
      4年目:6664 となるので、 (4641+5478+5400+6664) / 20000=1.10…(約1.1)となる。

      値は1より大きくなっているので、この投資案は採用すべき、ということになる。

      回収期間法(PP)とは

      回収期間法とは、投資額の回収期間を求め、それが満足し得る期間であるときにはその投資代替案を選択するという単純な投資評価基準である。複数の投資代替案があるときは、回収期間が最も短い代替案を選択すべき、ということになる。福利現価係数は使わないので注意。 回収期間の計算方法は、 設備投資額(初期) を各年の正味CFを引き算したり、割り引いたりして求める。 今回の場合、設備投資額は20000。

      1年目:(5500ー4500)×0.6+4500=5100(正味CF)
      2年目:6600 
      3年目:7200 
      4年目:9800となる。

      設備投資額から、1年目、2年目、3年目の正味CFを差し引くと、 20000ー5100ー6600ー7200=1100となる。 これを4年目正味CFで割ると、 1100 / 9800=0.11…となる。よって、約3.1年が正解。

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