私が受験した2020年度の受験結果の詳細はここをクリック
非法学部卒、法律素人から7ヶ月半の独学。2020年度の試験になんとか合格しました。
令和2年(2020年)度の採点結果です。
基礎 1/2
憲法 2/5
行政法 15/19
民法 6/9
商法会社法 1/5
多肢選択 10/12
一般知識 12/14
択一:168
記述:24
【問題44】(予想配点:8点) A県を被告として、本件認可処分の違法性を対象とする、無効等確認訴訟を提起すべきである。
【問題45】(予想配点:16点) BがAの伝えた事実が嘘である事を知り、または知ることができた時は契約を取り消すことができる。
【問題46】(予想配点:0点) 内心の意思を外形的に判断できないため、取引相手であるAやDの権利を保護する必要があるから。
合格率は10.7% (男性11.1%・女性9.8%) 前年(令和元年度)は11.5% (男性12.3%・女性9.4%)だったので、多少難化したようです。
予備校の記述採点と、本試験結果との違い
さてここで、データリサーチに提出した記述の採点結果も参考までに振り返ってみましょう。
上記解答が、行政書士試験センターが正式に発表した記述正答となります。 本試験では私の記述に24点が与えられましたが、各予備校の採点結果は、どうだったのでしょうか。
LECのデータリサーチでは記述0点
2020年12月2日に公開されたLECの成績診断では、0点という結果に。「無効等確認訴訟」だけで10点もらってる人もいたようなので、流石に0点は…と、少し落ち込みました。もしかしたら減点方式(余計なことを書いたらマイナス)で採点しているのかもしれませんね。 結果的には、本試験と一番乖離した採点結果となりました。
アガルートでの採点結果は24点
2020年12月6日に公開されたアガルート(林裕太先生)の成績診断では、24点という結果に。なんと、本試験で実際に配点された点数と同じでした!
「無効等確認訴訟」で8点、問45で「詐欺」と書けておらずAの事実に対して、と対象を誤っていることから4点減点の16点の配点となっています。
アガルートでは問45を錯誤で書いた場合の配点が記載されていませんでしたが、本試験結果も同じように、錯誤で点数がつかなったようです。
TACでの採点結果は28点
2020年12月9日に公開されたTACの成績診断では、28点という結果になり、合計点は196点となりました。問45の20点はオマケ配点でしょう。
令和2年度の試験の難易度は?
今年はじめて試験を受けたので、正直、過去の試験と比べてどれくらい難化・易化したのかはわかりません。ですが、手応えとしては、法令択一は難しかったし、一般知識は簡単に感じました。 参考に、Twitter界隈でみなさんの所感をウォッチしていましたが、だいたい、2つの意見に集約されているようです。
それは、「それほど、難易度が高いわけではない」と「試験センター、何やっとんねん」の2つです。
めちゃくちゃ難易度が高いわけではない
Twitterに自己採点結果を開示する方々は、そもそも成績上位者が多いです。その前提を踏まえてですが、私のフォロワーさんだと記述抜きで200点超えが1割、180点〜が3割、160〜が2割、150〜が1割、点数開示なしが3割、といった印象でした。
半分近くのフォロワーさんが、記述を含めずにも合格点の180点に達している状況です。もちろん全員ではありませんが、過去にTwitter上で開示されていた予備校の模試でも180overを得点されていた方が、順当に点数を積み上げている印象を持ちました。 試験直後の感触では手応えが無かったものの、採点してみると点数がとれているというパターンが散見されました。
私自身の感触も同じです。記述抜きで「168」という点数は、10月に受けた予備校模試(LEC2回、伊藤塾1回)で、一度もとることのできない高得点(模試では138〜162点の間)でした。 「択一がそれなりに難しかったとはいえ、令和元年よりは解きやすかったのでは?」 というのが、多くの方々の持たれてる印象のようです。
試験センター、何やっとんねん
もうひとつ、Twitterに溢れかえっていたのがこの意見。行政書士試験センターの出題意図がようわからんぞ、問題の作りが粗いぞ、というもの。
憲法、めっちゃ難しい!
超難化した、第三者没収の法廷意見なんかやってない…等、Twitterに多く上がっていたのが憲法に対する意見。例年より「難化」で間違いなさそうです。過去問ベースの勉強だけで取れるような問題がほとんどなく、憲法を得点源に考えていた方は、ダメージを受けやすかったのかもしれません。
記述の解答速報が予備校で割れる事態に
問44(行政事件訴訟法)は、被告適格を「組合」とする解答が求められる問題でしたが、私を含め「A県」と解答する方が多数いました。予備校も、当初は「A県」を速報の解答とするところが3〜4校ありましたが、伊藤塾やアガルートを皮切りに、他予備校も解答を「組合」に変更しました。「組合」が被告適格となったのは、地裁の判例があったからのようですが、予備校でも間違えるようなポイントを押さえられた受験生が、いったいどれだけ居たのでしょうか?
問45(民法)は、記述論点が第三者詐欺とも錯誤ともとれる問題で、Twitter上でも意見が真っ二つにわれる結果に。予備校は第三者詐欺を解答としているところもありますが、複数の予備校が第三者詐欺・錯誤の両方で解答予測を出しました。行政書士試験センターの解答が発表されましたが、錯誤の別解はなく、点数は与えられなかったようです。
問46(民法)は、背信的悪意者について記載を求められた問題ですが、条文に即して答える問題ではないため、各予備校の解答はそれなりに言い回しが異なっているようです。
問36(商法)は没問にならなかった
各予備校解答は2ですが、伊藤塾が2or5とし、Twitter上でも5を選んだ受験生がそれなりにいるようです。もしかしたら没問の可能性があるかも、と噂されていましたが、試験センターからは没問のアナウンスはなく、2が正答肢と発表されました。
記述の採点は、厳し目だった??
令和元年度の試験では、記述が甘めに採点されたようです。択一が難しいと記述の採点で実質的な得点調整がなされるため、択一の難易度が記述の得点に大きな影響を与えます。
令和2年度の今年は、択一がそれなりに難しかったことに加え、記述(問44,45)が物議を醸していることから、少し緩めの採点基準が用いられるのではないか、という予測をされている方が多かったです。 実際は、錯誤にほぼ点数がつかず、記述配点が一桁台の方も多数発生。できれば、記述抜きで180点(合格点)超えを狙うのが理想ですね。
はじめに〜行政書士試験を受ける受験生に伝えておきたいこと。
合格革命を使った勉強法の前に、行政書士試験に臨まれる皆さんに伝えておきたいことを最初に書いておこうと思います。そんなの必要ない、という方は読み飛ばしていただいて結構です。
行政書士試験は「登山口に立つ資格」を得られる試験。
既に開業されている先生方はご存知かと思いますが、行政書士試験の勉強内容は実務に直結することが少ないです。試験内容としては憲法、民法、行政法、商法、会社法、それに一般知識。リーガルマインドと社会人として兼ね備えておくべき知恵を理解しているかどうか、ということが問われている試験であり、社労士や税理士、司法書士のような高い専門性を試験では問われません。
行政書士の実務の幅は多岐にわたります。車庫証明、建設業許可、遺産分割協議書の作成、NPO設立支援、補助金申請支援、入管関係、農地転用許可などなどたくさんありますが、どの分野についても、試験で内容が問われることはありません。(相続だけは民法でたまに問われます^^;)
つまり試験に受かったからといって実務ができるわけではありません。本、研修、インターネットで知識をインプット、先輩に聞いたり役所で恥をかいたりしながら実務を学んでいくことになります。
行政書士試験は他の国家試験が簡単だと言われますが、あながち間違っていないように思います。ただ、『誰でも受かる」と揶揄されるほど簡単な試験では決してありません。受験生の大半が社会人であり、朝から晩まで働いているサラリーマンが1日に捻出できる勉強時間を考えれば、1000時間近い勉強時間を確保するのがいかほどに大変か、容易に想像できるはずです。
司法試験組、司法書士組、国家公務員受験組が参戦してくるなかで、合格率はわずか10%の難関試験です。業務という山の登山口に立てるのは、10人に1人だけなのです。
行政書士は食えない、は嘘ですが、営業活動が必要です。
「行政書士は食えない」とよく言われますが、「行政書士で開業しただけでは行政書士がキャッシュポイントにならない」が正しい認識かと思います。
「行政書士」の仕事内容は世間一般に認知されていません。
「引っ越ししたいな」と思ったら、物件を探しに不動産屋に行くと思いますが、「ケーキ屋さんを始めたい」と思ったら、どこに行けばよいのでしょう?誰に相談するのが正解でしょうか。
ケーキ屋さんを始めるには「菓子製造業許可」を取る必要があります。許認可業務なので、本来であれば行政書士の出番です。でも、最初に「行政書士」が頭に浮かぶ人は少ないかもしれません。多くの人は保健所に聞いたり、インターネットで調べたりして、どうしたら許可をとれるか自分で解決しようとするでしょう。「行政書士」というサービスをどのタイミングで利用すると便利なのか、世間一般には認識されていないのです。
「行政書士は食えない」とよく言われますが、世の中に認識されていないので、アピールしないと仕事は来ません。基本的に行政書士の事務所運営には、「自らを知ってもらう」営業活動が必要と考えておきましょう。「先生」としてふんぞり返っていると仕事が来なくて自然淘汰されていくかも?
ちなみに、行政書士専業で普通に生活している先生はたくさん居ます。ただし「専業」と言っても、キャッシュポイントを「行政書士業務」だけに絞っているという意味での専業です。そのためにボランティア活動をやったり、市町村の◯◯委員になったり、皆さんに顔を覚えてもらう業務外の努力を惜しまず活動されている方が多いです。
また、専業の先生と同じくらい副業をやっている先生もたくさんいます。大学の先生、企業の役員、補助金の審査担当、他資格業務(社労士や宅建士)などなど。これは行政書士業務の他にもキャッシュポイントがある方々、ということです。
「行政書士で食えるようにしたい」と考えるのであれば、どうしたら行政書士業務がキャッシュポイントになるかを探りながら日々過ごしていくと良いかと思います。
覚えることも大切、理解することも大切。
行政書士試験は、その試験の性質上、暗記だけで対応することの難しい試験です。暗記や計算の多い国家試験においては、中小企業診断士と並び思考重視型の試験と言えるでしょう。
残念ながら、暗記だけで乗り切ろうとする人は、何回も落ち続けてしまう試験だと思います。
もちろん覚えることは大切なのですが、法律である以上、そう定められているのはすべて理由があるはずです。判例も、その判決に至った経緯があるはずです。テキストや問題集に理由・理屈が記載されていないのであれば、自分で調べてメモを書き込んでいき、理解を深めていきましょう。
試験勉強に対して苦手意識がある人や、これまで難関試験を突破してきた経験のない人は、本やYouTubeなどで、試験勉強のやり方について一度学んだほうがいいかもしれません。どのように勉強するか、どれくらいの勉強量が必要か等、先輩行政書士の合格体験談のなかから、自分に合ったものを探しましょう。
7ヶ月半で行った勉強方法は?
2020年度の試験で実際に私が行った勉強方法について説明します。
3月末〜4月下旬(1ヶ月)
はじめの一ヶ月は、TACは出版から出ている「みんなが欲しかった!」シリーズを使いました。
この後説明する「合格革命」ではなくなぜ「TAC」だったか、ですが、たまたま本屋に置いてあって、フルカラーの教科書が読みやすそうだったからです。 結果から言って、この選択は間違っていませんでした。もちろん公民で習った憲法だけは知っていましたが、行政法はおろか、民法であっても「心裡留保」も「成年後見」も何も知らない法律初学者だったので、とりあえずテキストを読み通せそうなものを選びました。
教科書をただ読んでいても眠くなるので、問題集を開き、その問題が解けなければテキスト、解けなければテキスト、という感じで進めていきました。重要そうな判例は、判例集でその都度確認する、といった形をとりました。憲法以外は知らないものばっかりなので、正答率はまったく気にしませんでした。
なるほどー、と1つ1つ納得しながら読み進めていくイメージですね
読んでもわからないところは、飛ばして大丈夫です。教科書と問題をザッと読んで、行政書士試験の「全体像」を捉えることがこのフェーズに求められます。本試験に必要なレベルがレベル100だとすれば、ザッとテキストを一周することでレベル5に到達することができます。
また、ここではあえて肢別過去問ではなく、本試験と同じ五肢択一の問題集を使っています。
肢別問題集を使わなかったのは、勉強開始1ヶ月は「行政書士試験とはどういったものかを」理解するフェーズで、まずは試験本番と同じような形で取り組もうと考えたからです。知識の精度を上げていくその後のフェーズでは、肢別問題集に切り替えていきます。 よって、問題集は一度さっと目を通す程度で、復習もそんなにしていません。全体感と難易度を把握しながら、何を残りの期間でやるべきか、考えながら解き進めます。
既に宅建を保有している、法学部出身等、法律勉強の基礎ができている方・民法の基礎がおおよそ分かっている方であれば、2週間くらいで終わる作業だと思います。私のような法律初学者だと1ヶ月、高校で公民が苦手だった方だと2ヶ月くらいかかるかもしれません。
4月下旬〜6月下旬(2〜3ヶ月目) 合格革命を1周する
「みんなが欲しかった!」シリーズで全体像がつかめたので、合格革命の肢別過去問集に取り組み始めました。
「みんなが欲しかった!」シリーズをやりこまず、たった1周しただけで合格革命に進んだ理由は、単純に時間が無かったからです。この時点で合格革命を試験本番までに少なくとも10周はやらないと受からないと踏んでいたため、逆算して合格革命に手を出しました。
既に行政書士試験の全体感、問われそうなポイントについては把握できていたので、問題は全然解けない状態でしたが、解き進めることは出来ていました。
肢別過去問集は、簡単に言えばマルバツクイズが大量に載っている問題集だと考えてください。
憲法から初めて、行政法、民法、商法、会社法、基礎法学、個人情報、すべてのページを頭から一問ずつやりましょう。言葉にするのは簡単ですが、この作業、はっきり言って「めちゃくちゃしんどい」です。肢別過去問、この一冊全体で2500〜3000問近くあります。大変だとは思いますが、やりきってください。 問題文の左に、チェック欄がありますので、間違った問題にはバツ、合ってたけど論点を理解していないところには三角印をつけるようにしていました。
はじめの一周は、とにかく訳がわからないことだらけだと思いますので、左ページの問題ではなく、右ページの解説欄にメモをどんどん追記していきましょう。
「みんなが欲しかった!行政書士の教科書」 「みんなが欲しかった!行政書士の判例集」 を参照しまくりました。行政書士試験対策のテキストでも比較的基本的な内容に終始しているこのテキストに記載されているものは、しっかり押さえる必要があるものです。逆に言えば、この2つに載っていないものは、押さえなくても「直ちに死ぬ」レベルの重要な内容ではない、ということです。
人は忘れる生き物なので、参照した箇所は、肢別にどんどん書き込んでいってください。 肢別一周目のこの段階で必要なのは、論点を整理することです。覚えることではありません。大量の情報を一度に覚えることは不可能だからです。肢別問題集を2周目に解くときに、「解説ページを見れば理解できる」レベルまで持っていければ大丈夫です。(調べてもどうしても分からないものは、一周目は飛ばしてもOKです)
基本問題集を1周して、行政書士試験の試験内容の全体像を理解する。肢別問題集を1周して、各論点のポイントを書き込み、論点を理解していく。まだこの段階では暗記できていなくても心配いりませんよ〜。
このあたりから、手元に六法を用意するようにしました。基本的にはケータイ行政書士六法を持ち歩いていましたが、条文が省略されている場合もあるので、その時はインターネットで e-Gov(法令サイト)を検索するようにしていました。
フォーサイトの【eライブスタディ】を参考にしてね
各予備校の模試が始まれば、他の受験生の中で自分の立ち位置を知ることができますが、それまで独学生はどうやってモチベーションを保つのか。 私はフォーサイトのeライブスタディを利用しました。
予備校のフォーサイトが行っている1時間程度のYouTubeライブですが、10問〜15問程度の肢別を視聴者と解いていく形で進んでいきます。YouTubeと同時にフォーサイトの通信システムで回答を集計しているようで、問題を解く度に、フォーサイト受講生で正答率が何%くらいだったかを講師の方が教えてくれます。 正答率が7割を上回る問題を落としたら、自分の知識が足りなかった、として弱点補強していくイメージを持てばよいと思います。7月後半〜に予備校の模試が始まるまでは、eライブスタディがペースメーカーとして機能していました。
https://www.youtube.com/watch?v=f1OxhwgLQBo
問題が解けないときは、独学応援 佐藤先生のYouTubeを参考にしてね
行政書士独学応援チャンネルの佐藤先生は、合格革命肢別問題集の問題を個別解説しています。 教科書を開いても判例集を開いても訳がわからない…、という場合は、YouTubeで佐藤先生の動画を検索してみてください。9割方、素敵な解説を見つけることができると思います。
https://www.youtube.com/channel/UCtzk7KT2moPb2CyNRU3051A
ゆーき大学のYouTubeも参考に!
2021年度から、マジでイケてる行政書士講座のゆーき先生が、数々の解説動画をUPされています。佐藤先生とは異なる正統派路線の解説が多く、こちらも参考にされることをオススメします。
https://www.youtube.com/channel/UCizcAull3dM6PdZtDDu6GGw
民法条文が分からないときは、弁護士 雨のち晴れブログ(民法)を参考にしてね
民法は、弁護士 巨瀬慧人(こせけいと)先生のブログ解説が初学者には非常にわかりやすいかと思います。特に改正民法について。WEBサイトによっては改正前民法の解説をしているものがあるのですが、巨瀬先生は改正民法を条文単位でブログ記事を上げてくれています。条文の書いてある内容がわからないときは、先生のブログをちょこちょこ覗いていました。文章も優しさに溢れていて、問題集にボコボコにされた心が読んでいるだけで癒やされるという特典付きです。六法を参照してもワケワカメな場合は、すぐに参照してみましょう。
6月下旬〜7月末(4ヶ月目)肢別を1ヶ月で1周する
肢別問題集は、1周目を2ヶ月以内で終わらし、2周目は1ヶ月程度で終わらせるようにしました。
実は、この2周目が非常に難しかったです。
1周目に間違ったところを同様に間違えるので、「自分は何も覚えてないのではないか」と自分を責めながら解きすすめることになりますが、特に問題ありません。覚えている訳がないからです。
何周もしないと覚えられないので、2周目でも無理に覚えようとせず、「さらに深く、正しく理解しよう」と思いながら進めるようにしてください。1周目では見えてこなかった「理解していない論点」が2周目に浮き上がってくるので、どんどん調べて、どんどん書き込んでいくようにしていました。
8月(5ヶ月目)また肢別を1ヶ月で1周、記述のまとめノート(Word)を作る
また、1周しました。3周目ですね。このあたりから高速で肢別を解いていく方もいらっしゃいますが、私はじっくり一問ずつ解いていく派でした。理解できていない部分が見えてくるので、どんどん書き込んでいきました。 7月を過ぎると、予備校の模試が月1〜2で入るようになります。そうすると貴重な土日が模試と模試の復習で時間をとられてしまうので、同じ一ヶ月でも短く感じるはずです。模試で間違った箇所で「これは大事だ!」と思った場所は、肢別問題集に書き込んでいきましょう。
また、模試で出た記述問題は、WordやGoogleドキュメントにまとめて記述ノートを作りました。実は、肢別過去問集、理解すれば理解するほど、六法を参照しなくなっていきます。答えと論点をなんとなく覚えてしまうからです。「ちゃんと六法を引きましょう」でもいいのですが、そうモチベーションを保てるものではないので、記述問題をWordにまとめる際に、参照条文や判例をコピペして貼っておく(該当箇所は赤や青で印をつけておく)ようにしました。
このまとめノートを手書きで作ると、条文を書き写すことになるので大変です。パソコンでちゃちゃっと作れば時間もとられません。このノート、試験直前の条文確認に、非常に有効に効いてきます。
最終的には、肢別問題集と、サブノートを見れば、試験対策が網羅できるようになるのが目標です。
模試を受けたら、すぐに自己採点。間違ったところはざっと見直しして、肢別問題集の解説ページの類似箇所にメモを書き込んでおきましょう。記述問題はサブノートにまとめます。そうすれば、後日模試を解き直さなくても、肢別問題集を復習する&サブノートを見返すだけで模試で間違った箇所を復習することができます。
9月前半(6ヶ月目)肢別、一度でも間違った箇所を重点的に
肢別過去問4周目は、1度でも間違った問題だけを解きました。
そうすると、一周の問題分量は2/3くらいになり(初学者なのでたくさん間違えて当然)、多少スピードアップしながら問題をこなすことで、似たような論点の違いを多少意識できるようになってきます。
消滅時効がどの場合に何年か、行政不服審査法と行政事件訴訟法の執行停止の違いは何か…etc。 ここで私は軽く絶望しました。試験まで残り2ヶ月なのに、こんな基礎的なことすら理解していなかったのか、と。しかしこの気づきが、点数の大幅なアップにつながっていきました。
9月後半〜10月上旬(6ヶ月目)肢別、憲行民を全問解く
肢別過去問5周目は、憲法・行政法・民法を全問やりました。
試験が近づいてきて焦っていたのもあったと思いますが、商法・会社法・基礎法学・個人情報には手を付けず、落とせない憲民行だけを回すことにしました。実はこの段階でも、相当数の間違いがありました。 ただ、9月に受けたLECの模試では、運良く180overをとれていたものもあったので、実力がついてきていることを実感できていました。
10月上旬〜下旬(7ヶ月目)6周目の肢別過去問は2回以上間違った箇所!
肢別過去問6周目は、憲法・行政法・民法の、二回以上間違ったところだけを解きました。
このタイミングでそういった解き方をしたのは、自分が理解していない箇所を際立たせることで、最終月の復習を効率よく行うためです。 この頃になると、大半の論点は理解できているものの、複雑な論点を案の定間違える、という状況に。佐藤先生の動画を見返したり、六法を見返したりしながら、復習をすすめました。
この段階でも、間違った論点は、どんどん肢別に書き込んでいきます。ほとんど余白が残っていないかもしれませんが、とにかく書き込みましょう。書くこと、そして最終週に見返すことで、記憶の定着を図ります。すべてが書き込まれた肢別問題集は試験会場に持参すると、良いお守りになります。
10月下旬〜11月初旬(7〜8ヶ月目)7周目の肢別過去問は憲行民商・個人情報全問!
肢別過去問7周目は、憲法・行政法・民法・商法・個人情報保護法を全問です。
最後の全問確認ですね。時間がなかったので会社法は飛ばし、一日100ページ、だいたい8日で終わらせました。この7周目で間違えたところは、蛍光ペン等で印をつけて、11月、最終チェックの8周目を行うタイミングで復習できるようにしておきました。
11月試験3日前、2日前。
肢別過去問8周目。7周目で間違った箇所だけを、1〜500ページを本試験3日前、501〜最終ページを本試験2日前にやりました。
夏までの肢別の回し方のように、一周に時間をかけながら全問解くのではなく、5、6、7回目は、3週間以内、2週間以内、1週間で回すことにより、他の問題の記憶を短期記憶領域に留めながら解き進めることで、関連性の把握を高め、間違い箇所を急速に減らしていきます。最後の8周目では、全体で30問程度にまで間違いは減少。この30問は、試験前日、当日の朝に確認をしました。 加えて、個人情報保護法について、独学応援の佐藤先生がまとめたnoteを購入し、ザッと確認しました。
» 行政書士独学応援チャンネルのノート|一般知識対策 個人情報保護法はこの肢別を回せばOK 足切り回避で最も大切なことは個人情報保護法で3問GETすることです。|行政書士独学応援チャンネルのノート|note
試験前日 記述をひたすら解く。
今まで佐藤先生の動画や、模試で出題された記述のまとめノートを印刷。50問ほど作成していたので、これをザッと解きまくりました。 加えて、LECから出題されている「出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」の民法の60問を、ザッと解きまくりました。行政法も解きたかったのですが、時間がなかったのでパスしました。
記述は、本試験3日くらい前から取り組めたらベストでしたね。余裕のある人は、1ヶ月前あたりから取り組んでも良いかと思います。
行政書士の記述問題は近年難化してるとはいえ、条文の理解を問われる問題が多いです。
記述問題集や模試で出題された問題をあわせても問題数は150問程度と、そんなに多くありませんから、問われてくる箇所は重要な条文・判例に集中します。肢別を回すうちにどうしても難解論点に頭が引っ張られがちなるので、最後の最後に記述問題を使って基礎論点を押さえることは有益だったと思います。
実はこの記述対策で復習したところが、第三者詐欺(問45)として出題。前日だけの復習だったので完璧には書けませんでしたが、大きく部分点を貰える結果となりました。
近年、記述無しで180点overの得点はかなり難しくなっており、記述1問完答、残りの記述で部分点を取ることで合格を狙うのがスタンダードとなりつつあります。ところが実際の本試験では、記述を書ききれずに試験終了になってしまう方が非常に多くいらっしゃいます。行政書士の記述は論述ではないので深い対策は必要ないですが、普段から「個々記述として出題されるかも」と意識しながら肢別の問題を解いたほうが良さそうです。
試験当日 記述&肢別9周目
いよいよ試験当日。肢別過去問集は、8回目の回転で間違った30問のみを復習。残りの時間は記述問題をひたすら解いていました。
記述対策を試験直前に行うメリットは、基礎論点を効率よく復習できることですが、もうひとつ大切なメリットがあります。それは、「落ち着ける」ことです。試験前はどうしてもソワソワしてしまうので、ひたすら書くことで、心を落ち着けることができますし、「アウトプット」脳を試験直前に作り出すこともできます。
模試は、LEC(会場受験)と伊藤塾(通信採点)のみ。
各予備校が模試を実施していますが、私はLECと伊藤塾を選びました。LECは7月〜10月にかけて試験を実施してくれるので、比較的早い段階で、自分の立ち位置がわかります。伊藤塾は9月と10月に中間模試・最終模試が1回ずつ開かれます。
なぜ市販模試を使わないのか?
本屋さんで売っている市販模試でも、十分に試験対策にはなり得ますし、自分の弱点を発見するには良いツールだと思います。ただし、本屋さんで売っている模試は、本試験を行う行政書士試験センターがチェックしているはずなので、同じ問題が出題される可能性は少ないと思いパスしました。 もちろん解く価値はあるとおもいますが、時間がそこまで無かったのもパスした要因の一つです。
本ではなく予備校の模試を申し込めば、他受験生との比較(順位や偏差値)ができるので、モチベーションUPにもつながります。 実は、本タイプの模試も、Twitterで評判の良かった法経学院さんの「最強の模試」を購入していました。1回目、2回目だけはやりましたが、特に2回目はあまりに難しくて意気消沈したため、記述以外は復習すらしませんでした。
それぞれの模試の結果は…?
LECの模試データです。
伊藤塾の模試データです。
LECの模試と伊藤塾の模試を、時系列順に偏差値比較してみました。
7月の到達度確認第1回模試から伊藤塾最終模試に向けて、右上がりのグラフになっていることがわかると思います。 初学者だった私は最初の模試で、記述の偏差値36,法令択一で48と、出だしは最悪でした。でも、勉強すればちゃんと伸びるのです。
ちなみに、伊藤塾最終模試を行ったのは、試験2週間前の10月20日。まだこのときは肢別過去問は6周目をやっていましたが、この後、7,8周目+直前記述で、かなり得点力がアップしたように思います。
私は直前期に相当勉強したので、模試のあとも多少実力は伸びたと思います。余裕をもって受かりたい方は、模試で偏差値60をとることが、ひとつの合格基準になるのかもしれません。
余裕を持って受かるには…
今回の自分の勉強方法は、正直「余裕を持って合格できる勉強法」とは言えなかったと思います。
令和2年度の試験では憲法が難化。また、記述問題は、複数の解答が考えうる問題であっても「別解」が用意されず、試験センターの考える解答以外は点数がつかない可能性が高い問題が出題されました。 高いハードルであることは間違いありませんが、択一問題だけで180点以上を狙うのが、合格への最短ルートとなりそうです。
人によって始める時期、前提知識、環境が異なってくるので一概には言えませんが、もし私がもう一度試験を受けるのであれば、ということで、反省点も記述します。
合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック
肢別過去問集と対をなす、千問ノックをもっとやり込みますね。
肢別のように、マルバツ形式で1000問用意されていますが、こちらの問題集は過去問の肢ではなく、重要なポイントを1000箇所ついてくる問題集。 過去問では聞かれていない論点も含んでいるので、死角なしの対策をとりやすいです。
千問ノックは私も買いましたが、実際に手を出す余裕はなく、活躍の場はありませんでした。 肢別過去問の知識だけでも一般知識が簡単であれば160点overは狙えるので、勉強時間を確保できる方は千問ノックでプラス20〜30点を確実なものにしていきましょう。
肢別過去問をやりながら、六法を細かくチェック
今回の試験、もちろんケータイ六法を多用していたのですが、もっと普段から条文を確認しておけばよかったですね。
はやく肢別終わらせなきゃ!って思いながら問題を進めると、とどうしても確認回数が少なくなりますが、法律知識を定着させるためにも六法の確認は習慣化するべきでした。 令和2年度の試験もそうでしたが、条文だけ覚えて解ける問題は多くありません。ただし、法律知識の定着度の差でフェルミ推定の精度が変わってきますので、条文が頭に入っていると「アテ勘」で解いたときの正答率に、大きな差が生じるのではないかと思っています。
過去問をやる
肢別過去問はあくまでマルバツクイズ。5肢選択式のちゃんとした問題が10年分入っているのが、LECの「出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集 1法令編」です。
肢別過去問は、基本的な部分から知識を身につけるために、ストレートな聞き方の多かった古めの肢が問題として多数収録されていますので、「肢別過去問」で古めの肢、「出る順ウォーク問」で直近10年の傾向を掴む、という使い方ができると思います。
模試をたくさんやるよりも、とにかく過去問に触れることが大切だと思います。
初学者は、結局、何を買えばよいのか?
最低限、この3冊は買っておくと良い。
肢別過去問、テキスト(テキストは合格革命でも欲しかった!でも可)、そしてケータイ六法です。
問題が解ければ良いので、肢別過去問だけ買って、テキストも六法も買わずにわからなかったらWebで調べるのも理論的には可能です。確かにネットで検索すればたいていのことは出てくるのですが、「どこまで最低限押さえればよいか」が分からないのです。
基本的に、行政書士の基本テキストに載っていない知識は、「確度C」の知識。まずは確度A、Bを押さえなければならないので、効率のよい勉強のためにもテキストは1冊購入しておきましょう。
次に揃えるなら、この3冊!
2万円くらいなら教科書代に投下できる、というのであれば、残りのお金で判例集、千本ノック、記述式問題集を購入しましょう。
判例はググれば出てくるのですが、出てきた判決文を読み通す時間はありません。行政書士試験対策として、どこまで理解すればよいのかわからなくなるので、行政書士用の判例集を用意しておくとスムーズに理解することができます。判例集に載っている内容を押さえるようにすれば、だいたいOKなはず。
千問ノックは、肢別過去問と一緒に回転させることで死角を潰すための問題集です。過去問対策だけでは得点できない問題への対策として活用が可能です。
記述対策は、記述式の問題集を1冊買っておきましょう。合格革命でも欲しかった!でも、出る順でも、合格革命シリーズでも問題ないと思います。
模試は会場に受けに行こう。
模試は、本屋に売っているモノをやるのもアリですが、できれば、LECや伊藤塾の会場模試をオススメします。やはり試験会場の緊張感のなかで問題を解く経験は場数が大切です。
試験会場がめちゃくちゃ遠い、模試日が仕事で重なってしまっている等、会場模試を受けられない場合は、市販の模試を2〜3冊買って解いてみるのもアリな選択肢だと思います。
模試を一度も解かずに本番ぶっつけだけはやめておきましょう笑
合格革命の肢別問題集だけで、受かるのか?
受験される方の多くが持っている疑問だと思います。
結論から言えば、「分からない」です。
もし、合格革命の肢別問題集だけで受かった方が1人でもいらっしゃれば、「受かる可能性はある」と言えますが、その10倍、20倍、肢別過去問だけやって落ちている方も当然いるのです。
令和3年度の試験も、令和2年度の試験も、170点台で惜しくも不合格になった方々がたくさんいます。半年から1年猛勉強し、家族や友人との時間を犠牲にし、全身全霊で試験に臨んだ方が、やっと辿り着く点数が170点台だったりします。それでも、不合格は不合格なのです。1点でも、2点でも多く点が欲しい。そう望む者にしか合格が許されない試験ですから、出来得る限りの万全の体制をもって臨むべきだと考えます。
五肢択一の対策も、記述の対策も、多肢選択式の対策も、個人情報保護法の対策も、そして国語が苦手な方は一般教養の対策も、しっかりやるべきです。最小限の努力で合格しよう、という発想は、不合格へ大手をかけているようなものです。
勉強方法に絶対的な正解はありませんので、「何が自分に必要なのか」を自分自身の頭で考えて吟味して、勉強に取り組むのが良いのだと思います。肢別問題集だけをやって受かります、とは私の口からは言えませんが、肢別問題集は間違いなく合格への大きな足がかりとなります。
半年以上時間を確保できるなら、受験する価値はある。
かなり長い、令和2年度行政書士試験勉強の振り返り記事となりました。あくまで上記内容は僕自身のサンプルデータなので、各々が自分にあった勉強方法を見つけられたら、きっと合格に近づくのだと思います。
来年以降、受験する方にとっての「1サンプル」として、参考にしていただければ幸いです。 合格するために何より大切なことは、試験時間をしっかり確保すること。あとはコツコツ、問題を1問ずつ解いて理解していくこと。この2つです。試験まで半年以上あれば、今年1発で合格を狙うことも不可能ではありません。
令和4年度以降の試験難易度についても、個人的な見解を記載しましたので、来年以降目指される方は、参考にしてみてくださいね♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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