先日、行政書士会の研修で中小企業診断士の五島宏明先生の講義を受ける機会に恵まれました。
「事業者支援に経営デザインシートを活用しよう!」と銘打った研修、Zoom開催だったこともあり、忙しかったら片手間にでも聞いておこう…なんて思っていたのですが、五島先生の話の面白さに最初から最後までじっくりと聴き込んでしまいました。わかりやすい上に、とっても面白く、久しぶりに良質な研修を受けることができ、ちょっと感動。
皆様に一端だけ、ご紹介できればと思います。
バックキャスト的な考え方で未来を考えよう
2000年代以前のように、右肩上がりの成長が期待できない昨今、社会において未来の予測は日に日に難しくなっています。これを「VUCA」と呼ぶそうですが、環境変化の予測力を高めるよりも、迅速に環境変化に対応することが大切になっています。
環境変化に対応するとは、環境に身を委ねることではなく、環境変化を踏まえて経営課題を冷静に見極め、自らの課題に対応・挑戦することです。現在の延長線上に「なりたい自分」を設定するのではなく、先に「なりたい自分」を想像して、逆算して現在の課題を設定するバックキャスト的な考え方が良いのです。
例えば、「総理大臣になりたい」のであれば、今の自分の姿がコンビニのアルバイト社員だったとしても、総理大臣になった時の姿を想像して、「その前に衆議院議員を3期つとめなきゃ」「政策秘書としてまずは経験を積もう」と、逆算して計画を立てましょう。
「経営デザインシート」ってものがあるんだ!
五島先生の講義を受けるまで「経営デザインシート」なるものが存在することを知りませんでした。
経営デザインシートは、企業等が、将来に向けて持続的に成長するために、将来の経営の基幹となる価値創造メカニズム(資源を組み合わせて企業理念に適合する価値を創造する一連の仕組み)をデザインして在りたい姿に移行するためのシートです。
» 経営をデザインする 首相官邸ホームページ
上記画像は、「経営デザインシート」の簡易版です。
見た感じ、かなりシンプルですよね。私も試しに書き込んでみましたが、興味深いことに、普段考えない思考を使っているみたいで、かなり面白いんです。
普段の人間の思考はフォアキャストで考えがちなんですよね。どうしても明日の仕事を考え、1週間後を考え、1年後を考えてしまいますが、そうすると「自分の思い描いていた未来」がどこかへ消えてしまうんですよね。
経営デザインシートを使うと、大局観で強制的に未来の自分を想像させられますし、現在と理想の未来との差を認識できますから、「やるべきことの棚卸し」をするのにとても有益なツールだと感じました。
三代目が会社をつぶす!?
さて、ここで五島先生の著書、「三代目が会社をつぶす!?」のご紹介。研修のなかでご紹介されていたので、Amazonで購入し読んでみました。
この本は「経営デザインシート」とは関係なく、五島先生の人生の壮絶な人生談が書かれています。子供服の会社の三代目として生まれた五島先生が社長となったものの、倒産させてしまい、その後復活、中小企業診断士として活躍するに至るストーリー。
とても真似できない濃密な人生ですが、五島先生と同じく、経営者と伴走する一士業者として、とても考えさせられる一冊でした。新刊は出ていないようなので、ブックオフやAmazon、図書館等で探してみてください。
今日はこんなところで!ではまたー!